抵抗帯・支持帯
価格が止まりやすい 目には見えない節目(支持線・抵抗線)のことを、サポートライン・レジスタンスラインと言います。
価格が下降している時の下値支持線を サポート、価格が上昇している時の上値抵抗線を レジスタンスと言います。
サポートもレジスタンスも節目ですのでまとめて「サポレジライン」と呼ばれたりします。
サポレジラインで必ず価格が止まるわけではありませんが、サポレジラインで重要なのは世界中のトレーダーが意識しそうなポイントに見えるかどうかということです。
世界中のトレーダーが意識しそうなポイントとは
①トレンドの起点・終点となる 高値・安値
②抜ければ明確な転換シグナルとなる 切下げている高値や切上げている安値
※トレンドが崩れた後も切り下がっている高値や切り上がっている安値から引いたサポレジラインは注目されます
③レンジの上限・下限
④抜ければトレンドを形成する高値・安値
⑤目立つ高値・安値
は絶対に見逃してはいけない最重要ポイントです。
サポートとレジスタンスが出来る訳
サポートとレジスタンスが出来る訳について解説します。
仮に100円でドルを買った人達と 売った人達がいるとして、その後 価格が上がっていったとします。
売った人は 価格が上がってしまったことに恐怖を覚えます。
損したくない 。なんとか建値まで戻らないか.....「そうしたら決済しよう」と思っています。
逆に買った人達は喜んでいます。もっと買えばよかった。元のプライスに戻ったら「買い増ししよう」と思っています。
そしてまだポジションを持っていない人達はどうでしょうか?
上がった価格を見て
「上がったところでは買いたくない」
「安くなったところで買いたい」と思っているはずです。
そうすると…みんなが買いたい場所が同じ価格=100円になります。
そして価格が100円に戻ってくると 、みんなが買いたい価格になったわけですから 当然みんなが買います。
そうして価格が上がっていくのです。
この様にして みんなが買いたい場所にサポートが出来ていく訳です。
レジスタンスは逆になりますが考え方は全く同じです。
これが理解出来ると、サポートだったものが そこを突破されるとレジスタンスになる、いわゆるロールリバーサルについても理解出来るようになります。
ロールリバーサル
今までサポート・レジスタンスだったポイントの役割が切り替わることをロールリバーサルと呼びます。
サポート・レジスタンスがより強固なものであればあるほど、役割が反転した後にそのポイントが支持される可能性が高くなります。
具体的な使い方としましてはこのロールリバーサルを環境認識の際の優位性の一つとして考えて下さい。
もちろんこのパターン自体をエントリーに取り入れることもできます。
サポートレジスタンスの切り替わりを意識してみるとより精度の高いトレンド判断ができると思います。
ロールリバーサルが機能する訳
サポートとレジスタンスの役割が入れ替わるのは 何故でしょうか?
その理由は 市場心理に関係しています。
サポート付近で反発を期待して買いポジションを持った人がいたとします。
その後サポートを 価格が下方にブレイクすると、サポート付近で反発を期待して 買いポジションを持った人は損切りになる、 または含み損を抱えています。
その状態で 価格がサポートだった付近まで戻ると損切りした人は負けを取り戻したいという感情で新規の売りポジションを建てます。
損切りはしなかったが 含み損を抱えていた人は、不安な気持ちになっているので 建値になった時に決済の売り注文を出します。
このような背景がありサポート・レジスタンスの役割反転が起こります。
日足4本値
前日の日足4本値の重要性
前日の日足4本値はトレードを始めたその日から 誰でも引ける強力な水平線であると言ってもいいかと思います。
数多くあるインジケーターを弄るなら 世界中が意識共有する水平線を研究する方が 遥かに相場のソース(源)に触れることができるのではないでしょうか?
日足4本値に水平線を引くだけなら 誰でも機械的に引けます。
特にデイトレードで 1日で数回取引するスタイルなら必ず意識したいプライスです。
前日の日足4本値は「試される」プライスです。
特に、 終値と陰線なら安値 、陽線なら高値が重要で、さらにこれは 日足に限ったことではなく全てのローソク足に当てはまります。
そんな単純ではないと 思われそうですが、それは相場のカオス(解釈できない)から 目をそらしているだけで単純で 秩序正しい動きだけを 狙えばいいのです。
デイトレードなら 前日の日足を見るだけでも 重要なプライス情報が入ります。
水平線を引くのに微調整は必要ですが 、何より余計な水平線を引かないことは余計なトレードを避けることに繋がります。
デイトレードなら 一日の値幅には限りがありますし、はらみ中なら さらに値幅は狭くなるので 水平線はそう何本も必要ありません。
今日の日足は陰線・陽線どちらになるかを 想定して、その動きの中を インとアウトを決めて 短期足でタイミングをとるだけです。
日足4本値に引いた水平線を基準に 下位時間足の抵抗を考えれば良いのです。
世界中が意識共有する水平線は 多くの投資家が意識していて、ポジションを持ったり 手放したりすることが多いプライスです。
物凄く大雑把な話をすれば、相場は世界中が意識共有する水平線から 世界中が意識共有する水平線までのレンジ幅の中で一段上がり 一段下がりを繰り返しているという見方もできます。
もちろん世界中が意識共有する水平線で高値・安値がピタリと止まることばかりではありません。
過去の高安の位置によっては 若干届かないことや反対に 行き過ぎることもあります。
また 、日足や4時間足クラスのサポートやレジスタンスなら世界中が意識共有する水平線をまたいで もみ合うこともあるので、短期足だけでブレイクの判断をすることはできません。しかし世界中が意識共有する水平線を軸に いくつかの条件を組み合わせ検証すれば 実戦的なトレードルールもつくれます。
むしろインジケータよりも プライスが固定されて簡単ではないでしょうか?
相場には「試す」という特有の値動きがあります。上を試してダメなら 下を試す動きになり、下を試してダメなら 上を試す動きになります。
ダブルトップとは上を試す動きなので、試してダメなら下がります。
トレンド中で方向性があれば、 押し戻りなど試すために動く値幅に偏りがあるだけで 原理は同じです。
これに複数の波が絡むと 、ギザギザした上下運動を繰り返しますが小さな波の押し目でダメならワンサイズ上の押し目候補を試す動きになるために下がるだけで、一見複雑そうに見えて 結構単純なのです。
指値・逆指値注文が多い場所はどこか
重要なチャートポイント(指値・逆指値注文が潜んでいそうなチャートポイントを探す)
チャート上の要になる価格 =「チャートポイント」とは、多くの市場参加者が注目してこそ 意味があります。
価格があるチャートポイントに近づくと「このチャートポイントは守られるのか?それとも破られるのか?」といった判断を迫られます。
しかし そんなことは誰にも分かりません。守られるか 破られるか 、答えは相場が教えてくれます。
ただ 言えることは「チャートポイントは 破られるまでは守られる」と判断するのがセオリーということです。
為替でも株でも商品先物でも、 投資とは「答えが誰にも分からないもの」に対して 自分なりの「現状把握」とそれに基づく「未来予想」をたてることです。
さらに一歩踏み込んで 自分が描いた「未来予想」をもとに売買判断を下すのは 、ほかならぬ自分自身以外にありません。
どんな状況においても 判断を下すのは自分自身です。
ただ 、いったん判断を下した以上 そこから先は、ある客観的な基準で 自分が下した判断を律する必要があります。
一度判断を下したら その判断が正しいのか間違っているのかを「判断」したり「評価」したりするのはなるべく自分自身ではないほうがいいのです。
「相場がどの方向にいくのか?」「どれぐらいの大きさで動くのか?」そんなことは誰にも分かりません。
分からないからこそ 一瞬で儲かったり 損をしたりするわけです。
「分からないこと」に対して 自分がいったん下した判断を、さらに自分だけの「思惑」や「当て推量」で再評価するのは大変危険です。
チャートポイント付近では「買いか 売りか」の判断が真逆になります。
判断を180度変える必要があるのです。
極論を言えば チャートポイント付近では自分で判断しない方が良いぐらいです。
自分で判断する場合、 必ずそこには「個人的な願望」が入り込んでしまいます。
多くの方は「ここが底(天井)だ」と当て推量したがりますが、そんなに早合点する必要はありません。
相場が急激に動く場面ほど 集団心理を読むことが重要になってきます。
中でも 相場急変時にもっとも注目しなければいけないのは大口投資家の投資動向です。
「相場の大きさは誰にも分からない。だからこそ ストップロスオーダーを入れておくべき」という考え方も ここからきています。
大きな損失を抱えた大口投資家やヘッジファンドが「その損失に耐え続けるか」「耐え切れずに投げるか」さらには「大量のドテン売買を仕掛けるか」そんなことは 誰にも分からないわけです。
当然、 大口投資家やヘッジファンドが投げた場合は相場は大きく動くことになります。
個人投資家としては「損失回収」に動き出した大口投資家やヘッジファンドの動向に十分 注意を払う必要があります。
また 大口投資家やヘッジファンドの場合はリスクヘッジのためにオプション取引を多用しています。
通常オプション取引は 大口投資家やヘッジファンドがストップロスオーダーの代わりに利用するものです。
現物の通貨取引を行なうインターバンク市場では、1億ドル程度のストップロスオーダーは注文として預かることができます。
しかし 10億ドル規模になるとストップロスの価格帯になっても買い手が見つからず 売りさばけない可能性があります。
USD/JPYが110円を割って下がったら、10億ドル売りたいという注文があったとしても誰もそんな注文は預かってくれないわけです。
そこで ストップロスオーダーを入れるかわりに110円でドル売りというプットオプション(ある決められた期日にある値段でドルを売る権利)を買えばいいということになるわけです。「110円で損切りたい」と思っている時に、実際に「110円で損切る」人は中々いません。かといって「109円まで粘る」というのも考えにくいです。
大抵の場合 損切りしたい価格の50銭ぐらい下の価格で、プットオプションを買います。
反対にUSD/JPYを売り持ちしている投資家は110円という損切りラインの50銭ぐらい上の価格でコールオプション(ある値段でドルを買う権利)を買います。
オプションの設定価格というのは通常キリのいい価格帯のゴーマル(50)上や下 つまり110円50銭や109円50銭といったところに集中します。
為替レートが動いて キリのいい価格帯の50銭上や下あたりにさしかかった時は 先物市場のオプション行使にともなって現物市場でもその決済取引が行なわれることになるので相場のさらなる急変動に注意が必要です。
移動平均線は重要な指標である
移動平均線の使い方
移動平均線の上に価格があるときは 上昇トレンド傾向にあり、下にあるときは 下降トレンド傾向にあると判断することが出来ます。
しかしながら 短期の移動平均線は直近の値動きに敏感に反応するため、ダマしにあう可能性も高くなります。
それに対して長期の移動平均線は、 反応が遅れるためダマしの確率は低くなりますが トレンドの発生を知らせるタイミングが遅れます。
そのため単独ではなく、 短期の移動平均線と長期の移動平均線の複数本を用いてトレンドを判断するのが有効と言われています。
具体的には、 価格が移動平均線の上に位置し、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜けたら上昇トレンド傾向に転換したとみなす。または 上昇トレンド継続中に短期の移動平均線を価格が下抜けたらトレンドの終焉を疑い長期の移動平均線まで下抜けたら手仕舞いするなどです。
またトレンド発生中において傾いた移動平均線は蛇行するサポレジラインともなります。
すなわち上昇トレンドにおいて押し目を作り移動平均線付近で、下げ止まったらそこがサポートになる可能性があり、下降トレンドにおいてはレジスタンスとなる可能性があるということです。
ここで気を付けなければならないのは、上述した使用法はトレンド発生時についての使用法であるということです。
つまりレンジ状態などで、移動平均線が横ばいまたは絡み合って方向感がないときは 移動平均線はサポート・レジスタンスとして機能しないと言われています。
※正確なトレンド判断は ダウ理論を用いて判断します
グランビルの法則
グランビルの法則とはアメリカのジョセフ・グランビル氏によって考案された手法です。
移動平均線と価格の動きとの乖離や関係性によって売買タイミングを判断するものとなります。
上図をご覧下さい
オレンジ色の曲線が移動平均線(MA)青色の線が価格の動きです。
①~④までが買いのタイミング
⑤~⑧までが売りのタイミングとなります
①MAが下向きまたは横ばいから上昇に転じ価格がそのMAを下から上に抜けたときは買い。
②MAが上向きで価格が少しMAを下抜けてきたら一時的な調整と見て買い
③MAが上向きで価格がMAに近づいてきたものの再度上昇したときは買い
④MAが下向きで価格が大きく下落してMA と離れすぎたときは買い
⑤上向きのMAが横ばいまたは下降に転じて価格がそのMAを上から下に抜けたときは売り
⑥MAが下向きで価格が少しMAを上抜けて来たら一時的な調整と見て売り
⑦MAが下向きで価格がMAに近づいてきたものの再度下落した時は売り
⑧MAが上向きで価格が大きく上昇してMA と離れすぎた時は売り
以上がグランビルの法則となります。
この法則のみでトレードを実践しても勝てる手法になるとは思いませんが、グランビルの法則を環境認識の中の一つとして判断している人は多いように感じます。
移動平均線をトレード手法に組み込んでいる または組み込む予定の方は是非知っておくべき法則です。
環境認識
マルチタイムフレーム(MTF)分析とは、 複数の時間足チャートを見て相場を分析する方法です。
上位時間軸のチャートを順に見て、 相場状況やエントリーの方向を判断し、執行時間軸のチャートを見て 、仕掛けていくタイミングを決めます。
簡単な分析の流れは以下の通りです。
①上位時間軸で大きなトレンド方向を確認
②執行時間軸のチャートでエントリータイミングを探る
上位時間軸とは デイトレードの場合であれば 週足・日足・4時間足といった比較的長い時間足で トレンド方向と相場状況を見極める為に見る時間足になります。
執行時間軸とは 、1時間足といったエントリー波形足でタイミング足とはエントリータイミングをはかる15分足や5分足といった短い時間足のことです。
この分析のポイントですが 大きい時間足のチャートほど優位性があります。
相場の時間足は大きい時間足であればあるほど見ている人が多く意味のある時間足となっています。
例えば 日足で上昇トレンドならば 4時間足で下降トレンドでも、そのうち上昇トレンドに転換する可能性が高いということです。
ちなみに世界で最も見られている時間足は日足といわれています。
単一の時間軸だけでトレードをするよりも 複数の時間軸を見ることにより、良いポイントでトレードを行うことができるようになります。
短い時間足だけ見てトレードしていても視野が狭くなり 。大きなトレンドの流れや重要なチャートポイントの動きが見えなくなってしまいます。
実際にマルチタイムフレーム(MTF)分析でトレンド判断を行う際のポイントは大まかに分けて2通りあります。
①全体的な圧力が売りと買いのどちらが強いのか?
②重要なポイントに差し掛かっていないのか?
の2つです。
上位時間軸で「全体的な圧力が売りと買いのどちらが強いのか?」に注目して全体的なトレンドが どちらに傾いているかを確認します。
上位時間軸は短い時間軸より意味がありますから、上位時間軸で判断したトレンド方向にのみトレードを仕掛けていくことにより トレードに優位性が発生します。
簡単にいえば長い時間足で判断したトレンド方向にその後進む確率が 高いということです。
「大きなトレンドに逆らわない」ということはトレードでは基本であり大切なことです。
次にもうひとつの注目ポイントである「重要なポイントに差し掛かっていないのか?」について解説します。
マルチタイムフレーム(MTF)分析における「重要なポイント」とは下記の様なポイントです。
①長い時間足で重要な安値や高値を更新している(ブレイクアウトが起きている)
②強力な抵抗帯から反発している(サポレジラインから反発している)
③ボラティリティが低下してきている(トレンドが終焉に向かっていて レンジになってきている)
④サポートレジスタンスの切り替わりが確認できる
このような重要なポイントの判断を合わせて、現在の相場の状態が買いか売りのどちらが有利なのかを判断します。
週足や日足・4時間足といった長い時間足で上述した様な状況が確認できた場合には、短い時間軸を見てそのトレンド方向に トレードを仕掛けていきます。
長い時間足で このような相場状況になっているときは、短い時間足で そちらの方向に仕掛けていけば 当然勝ちやすくなります。
ここで出てくる問題が「複数時間軸を見ていると混乱してしまう」という状態が発生することです。
日足は下降トレンドであるのに4時間足は上昇トレンドであったり・・・
4時間足で上昇トレンドであるのに日足で重要なレジスタンスラインに頭を抑えられていたり・・・
数多くのインジケータを表示させているとさらに混乱を招くことになります。
このような相場の動きを確認する上では、重要なポイントでの価格の動きを優先して見るのがいいと思います。
例えば 、4時間足で上昇トレンドであるのに、 日足で重要なレジスタンスラインに頭を抑えられている場合でしたら レジスタンスラインに頭を抑えられているという事実の方を優先します。
上記の様に、どちらかを優先すれば迷うこともなくなると思います。
マルチタイムフレーム(MTF)分析と 一口に言っても様々な方法・見解があると思いますが 、こういった考え方も有力なものの一つだと思います。
「複数の時間軸を見ても混乱してしまうし 面倒だから見たくない」と、いう方もいらっしゃるかもしれませんが 、裁量トレードで勝ち続けるにはマルチタイムフレーム(MTF)分析は 、ほぼ必須だと思います。
短い時間足だけ見てトレードしていて「急に流れが変わってしまった」と感じる場合は大きな流れに逆らっている可能性が高いです。
相場は永遠にトレンドが発生し続けることはありませんしレンジ相場が永遠に続くこともありません。
ボラティリティは常に収縮と拡大を繰り返しています。
ボラティリティが拡大していく相場なのか?
ボラティリティが収縮していく相場なのか?
どちらでもない相場なのか?
長い時間足のボラティリティがどうなっているのかに 注目してみましょう。
ボラティリティの変動を簡単に把握できるものが「ボリンジャーバンド」です。
ボリンジャーバンドの使い方はバンド内に収まる確率や バンドにタッチした・しない などよりも相場の状態を判断する為に使うのが 基本的な使い方になります。
トレードで勝つには難しい戦略は必要ありません。
今一度 基本に立ち返り王道を行くトレードを目指しましょう。
値動きこそすべて
プライスアクショントレードを 完結にまとめたいと思います。
・ダウ理論
・サポート・レジスタンスライン
・チャートパターン(エントリーの基本パターン)
・ローソク足
プライスアクショントレードの骨子に どんどん肉をつけていくと、トレーダーにとって 最適化されたトレードプランが出来上がります。
プライスアクショントレードの基本と資金管理さえできていれば、極端にぶれることなく 長期的に資金は右肩上がりになる筈です。
プライスアクショントレードとは『値動き』に着目するトレード手法です。
相場の分析には ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析が用いられますが、プライスアクショントレードはこのテクニカル分析に分類されます。
テクニカル分析は、すべからく値動きに着目するだろうと思われる方も多いでしょうが、ここで強調したいのは『値動き = チャート』ということです。
ローソク足に限らずチャートは本来連続的である値動きを 離散的に切り出したものなのです。
このプロセスで 多くの情報が削ぎ落とされます。数多くあるインジケータも同様です。全てのインジケータは 数字を加工して作られます。
しかし、 加工された二次生成物がオリジナルよりも多くの情報量を持つことは あり得ないのです。
以上のことを踏まえると、 プライスアクショントレードはテクニカル分析に分類されますが 、RSIやストキャスティクス、MACDなどといった インジケータだけを振りかざす『手法』とは『概念』が違います。
インジケータが一概にに悪いとはいいませんが、これらのインジケータを組み合わせれば 勝率90%などと夢を見る暇があるなら、 値動きと誠実に向きあう方が賢明です。
これは相場のカオスなのですが 、値動きというのは似た様な動きが頻繁にみられるのです。
明確なルールがあるわけではなく 確率的なものですが、過去数十年にわたって 相場に携わっている人間というのは同様の心境に陥ると 同様の反応を繰返してしまう様なのです。
この事実自体には なんの根拠もありません。
相場はカオスですから、 ニュートンの世界の様に簡単に解析できる様なものではありませんし インジケータで予測できる様なものでもありません。
ただ確率的に、長期的に見たときに、 ある値動きに対して一定の反応を示しやすいということが、経験則としてわかっていれば安定して稼ぐことが可能になるのです。
チャートの向こう側にいる、 すなわち『値動き』を生み出している集団は我々と同じ人間であるということを 忘れないで下さい。
システムトレードのアルゴリズムにしても 運用しているのは人間です。どんなに強大な投資機関でも ずっとひとつのアルゴリズムに任せきりということは あり得ません。
というか、 そもそもリスクヘッジとして最悪です。
重複しますが 相場はカオスです。
機械的なルールありきのトレードで 安定して稼げる様な対象ではありません。
値動きに着目して 集団心理を読むことで相場に対する優位性を 確保しましょう
プライスアクショントレードでは、 マクロな視点とミクロな視点両方から値動きを観察することで エントリーの優位性を確保します。
マクロ視点で 波のどこにいるのかを確認し、ミクロ視点で いつ波が切り替わるかを予測します。
ここでは まず、マクロ視点での相場の見方を解説します。
はじめにダウ理論を導入して 相場の動き方の基本をつかみ、それに基づいてトレンドの見方を説明します。
次に 値動きの根底にある集団心理に着目することでサポート・レジスタンスラインの意味合いを解説します。
そして補足的に サポート・レジスタンスラインが形作るチャートパターンを紹介します。
最後にミクロ視点での相場の見方を解説します。
こちらはマクロ視点ほど多岐には渡らず、ローソク足の読み方のみを解説します。
これによって マクロなトレンドの中で押し目(戻り)や利食いポイントを見極められる様になります。
すべての値動きは『ダウ理論』というメガネを通して見ることでシンプルになります。
プライスアクショントレードでは このダウ理論を援用することで値動きを追います。
数字を加工して作り出すインジケータに重点は置きません。インジケータはあくまでも、ただただ補足的なものでしかありません。
投資手法というものは、 突き詰めればシンプルなほど良いと考えているからです。
なぜ手法はシンプルな方が良いのかを確認し、その後 ダウ理論の中から プライスアクショントレードに関するところを抜粋して解説します。
これは余談になりますが「モデルは必要以上に複雑であってはいけない」という思想は 14世紀のスコラ哲学に端を発しています。
そしてこの思想は20世紀に入り 統計学の世界で「過適合」という概念で説明されました。
勝率95%などと唄う FX教材をご覧になったことがあるかもしれません。
本当ならすごい話ですが その宣伝は勝率という言葉を理解していません。
ああいった宣伝は過去のデータと照合して『予測率』を計算しています。
それが高いのは当たり前です。
何せそのデータを用いてモデルを作っているわけですから・・・
例えば 2022年のデータを使ってモデルをつくり2023年の相場を95%の精度で予測できたらそれは本物ですがそれはあり得ません。
予測率95%というのは2022年のデータを使って作ったモデルを2022年のデータに適用してどれだけあってるかという数字です。
それは当てはまる筈です。 何せそのデータから作ってるわけですから・・・
繰り返します 。モデルはシンプルなほど良いのです。
値動きこそすべて
トレンドの定義とトレード方針
・上昇トレンド = 高値も安値も切り上げる
・下降トレンド = 高値も安値も切り下げる
プライスアクショントレードでは、上昇トレンド・下降トレンドをそれぞれこのように定義します。
このトレンド以外では、 相場は横ばいのレンジであったり、傾いていてもノイズが大きすぎて トレンドが見えない状態になっています。
プライスアクショントレードではトレンドが見えないときにはエントリーしません。
エントリーチャンスは減りますが 勝率を上げるために重要なことです。
勝率の高いトレーダーはトレンドを読めない状況でむやみにエントリーしないものです。
安定して勝つためには『上昇トレンドの際に買う』・『下降トレンドの際に売る』これを心がけましょう。
上昇トレンドの際の引き波で売ろうなんて考えないでください。
利益が伸びない状況で 不要なリスクを取るのは賢明な判断ではありません。
また、 着目している時間足と上位足のトレンドが一致しているときにエントリーして下さい。
例えば 5分足で上昇トレンド 1時間足でも上昇トレンドといったときです。
食い違っているときよりも 一致しているときのほうが確実なトレンドになりそうなのは直感的に分かる筈です。
上位の時間足まで一致しているトレンドに乗ってトレードする。
押し目で買って 戻りで売る。
トレンドをとらえてる間はこの方針でトレードをし、いざトレンドが崩れたときには 損切りをします。
サポート・レジスタンスライン
先述した様に、トレンドは継続するものだから、押したら買う 戻したら売る というトレードの基本方針を解説しました。
では 、マクロ視点で残る問題は「トレンドはいつ終わるのか」です。
トレンドの終わりは トレンドの定義が破れていないかに着目します。
・上昇トレンド = 高値も安値も切り上げる
・下降トレンド = 高値も安値も切り下げる
この トレンドが終わったかという判断を支援するのがサポート・レジスタンスラインです。
このラインの引き方は数種類あり、すべて主観的なものです。
主観的とはいえある程度練習した人はある程度同じところにラインを引くようになります。
サポート・レジスタンスラインをトレンドの定義を破る方向に抜けたらトレンドが終わったと解釈してください。
ここでは 数種類のサポート・レジスタンスラインを紹介した上で、なぜそれらのラインが閾値として役に立つのかということを集団心理に着目して説明します。
サポート・レジスタンスラインの種類
数多のインジケータがあるのと同じ様に、サポートレジスタンスラインも数種類あります。
知識としては以下に紹介するものを抑えておけば十分でしょう。
・高値・安値
・トレンド
・チャートパターン
高値・安値に合わせて引く
ポイントは 『直近の高値・安値』にラインを引くことです。
このラインを突破するか否かを トレンドが変化したかどうかの目安にします。
トレンドに合わせて引く
上昇トレンドのときは着目している波の下側
下降トレンドのときは上側に線を引きます
このラインを抜けると「リズムが狂った」という黄色信号的な参考にします。
なぜ役に立つのか
どのようなラインを引くかは ご理解頂けたと思います
・上昇トレンド = 高値も安値も切り上げる
・下降トレンド = 高値も安値も切り下げる
と先述しました。もし切上げず(切下げ)にサポート・レジスタンスラインを突破するようなことがあれば 集団の心理的変化が起こりトレンドが終わる可能性が高いのです。
基本パターンはこれぐらい覚えておけば十分です。
これだけ覚えておけばエントリータイミングには困ることはないでしょう。
本来はどのタイミングでエントリーするかということよりもトレードするパターンに相場環境が適しているかという方が圧倒的に重要であるからです。
また実際のチャートは上図のように綺麗なチャートにならないと理解しておくことも大切です。
几帳面な性格の人ほど教科書のようなパターンが出ないと怖くなってしまうことが多いようです。
相場はキッチリ型にははまらないものなのである程度はざっくりと考えるようにしましょう。
値動きこそすべて
マクロのトレンドの動きはご説明しましたが「どのタイミングでエントリーし 、そして手仕舞うか」というミクロ視点での波の乗り方が残っています。
後になればチャートの押し目(戻り)なんて一目瞭然ですが、リアルタイムで見ていると 押し目(戻り)なのにトレンドが変わったような気がして なかなか売買できません。
自分が着目している波よりも 小さい波に翻弄されることもあります。
このミクロの判断に、プライスアクショントレードではローソク足チャートを使います。
シンプルながら情報量が多いですし、また多くの人に使われているからです。
後者の理由は単なる付和雷同ではなく 根拠があります。
プライスアクショントレードは、チャートを通して相場に参加している集団心理を読むことです。
その集団心理は何に影響を受けるのでしょうか?
ファンダメンタルズの情報はダウ理論によりチャートに織り込まれるのですから、極論すればチャートに影響を受けています。
すなわち「集団心理を読む→影響力が高いものを見る→ローソク足チャートを見る」ということです。
それが シェアNO.1のローソク足チャートがプライスアクショントレードで使われる理由です。
※3種類のローソク足の形をプライスアクション フォーメーションパターンとして後述します
丸暗記するのではなく、相場がどう波打つとどの様なローソク足をつくるのか?ということを想像しながら ローソク足を見ることがポイントです。
日足のローソク足を見るだけだと離散的な動きしか捉えられませんが、その中では 1時間足・5分足で確認出来るような波があります。
さらに5分足の中では1分足と 瞬間瞬間で相場は連続的に変化しています。
常に自分が着目している時間足の上位足・下位足を確認して、マクロな動きの中でのミクロの動きをみているということ、またそのミクロの動きも相対的にはマクロな動きであり、その中にさらにミクロな動きがあるということを 意識して下さい。
ローソク足のパターンをつくるのが好きな人というのはいて、世の中には無数のパターンがあります。
ただ そんな無理やりつくったパターンに強い優位性がある筈もなく、覚えることに満足するだけの人が多いです。
大切なのは ローソク足から連続的な値動きを想像することです。
それが出来れば 市場参加者がどの様な思惑で相場が動いているのかということを 自然に読める様になる筈です。
ローソク足のパターンを見極めよう
個人投資家が相場で利益を得るためには、相場を動かす力を持っているヘッジファンド等の機関投資家の動きについていくしかありません。
大口投資家であればあるほど、彼らが動いた後には ローソク足という形でくっきりとその足跡が残ります。
プライスアクションは その足跡を分析して相場の方向性を分析します。
この足跡にはパターンがいくつかありますので 、それらを習得するということは優位性の高い手法を手に入れたも同然です。
プライスアクションはわかりやすく その効果は絶大です。
インジケータをたくさん表示させたチャートとにらめっこしながら 時間を費やすよりも、プライスアクションの方が はるかに効率的です。
インジケータをたくさん表示させればさせる程、トレードに優位性があって 勝つ確率があがるものだと考えておられる方は非常に多くいらっしゃいます。
インジケータ分析に時間をかけすぎて 、かえってトレードを難しく考えておられる様です。
ではプライスアクションのパターンにはどういうものがあるのでしょうか?
著者が主に使用するパターンは次の3つです
前回のローソク足を包み込むような陽線(逆も同様)は反転のサインになりやすい(前回のローソク足を否定している)
これが基本の考え方です。
どんなインジケータより早いサインになります。
しかしなんでもかんでも反転するのかというとそうではありません。
前回ローソク足で陰線であるならば売っているトレーダーが多数いた事実がそのローソク足にはあります。
しかしその売りポジションを全て否定してしまうような陽線が出たのであれば、売り勢力が弱くなった、もしくは売り勢力より買い勢力が強くなった=反転のサインというように当たり前ではありますが 強力なサインになる事がわかると思います。
PinBarがなぜ出来るのかを考えてみましょう。
下髭の長いPinBarは最初陰線を形成していって、上昇していく段階で長い下髭をつけてPinBarになりました。と言うことは、
売り注文が入ってきた⇒否定⇒売り注文を超える買い注文が入ってきた。
こういう事実をビジュアル化したローソク足の形状だという事が分かります。と、言うことは反発確認のサインとして捉える事ができます。
上髭の長いPinBarは逆のパターンです。
はらみ足はもみ合いを示す状態であり 、その後は上か下かの方向に抜けていくことになります。
したがって抜けた方向にエントリーするのが売買の方法となります。
プライスアクションで一番大事な概念
一番大切なのは プライスアクションがどこで発生したかです。
ローソク足の形とかパターン・チャートパターンもどこで起っているかがわかっていないと武器にはなりえません。
例えば上昇トレンド中のサポート+PinBar(または 包み足・はらみ足)という局面だからこそのプライスアクションといえます。
サポート(レジスタンス)ライン上でのプライスアクション
サポート(レジスタンス)ゾーンでのプライスアクション
どこでどのようなプライスアクションが起るのかを理解することが 利益を高確率で残す最短の方法だと思います。
通貨の強弱を見極めよう
ドルインデックス(US Dollar Index)とは何か?
簡単に言えば 米ドルの価値を表す指標です。
どうやってドルインデックスが算出されているかというと、複数の主要通貨内での米ドルの価値を貿易規模などを加味して計算されています。
実はドルインデックス自体 何種類かあるのですが、代表的なインターコンチネンタル取引所(ICE)が出しているドルインデックスは下記の6通貨から構成されています。
ユーロ→57.6%
円→13.6%
英ポンド→11.9%
カナダドル→9.1%
スウェーデンクローネ→4.2%
スイスフラン→3.6%
ICE以外のドルインデックスはこれらの通貨構成と比率が変わってきます。
ドルインデックスはそれはそれで結構奥の深い世界ですが、FXのトレードに活かすという観点では まずはドルの価値を表す指標と理解して頂ければ結構かと思います。
ドルインデックスを見るべき理由
著者はFXトレードする際にドルインデックスは必要不可欠と考えています。
なぜならば 世界の通貨は米ドルを中心に回っているからです。
しかし意外な程 、ドルインデックスは個人のFXトレーダーには知られていません。
ですが 為替市場を動かす機関投資家は 必ずドルインデックスを見ています。
個人のFXトレーダーは 為替市場を動かす機関投資家と同じ土俵に立って初めて対等に戦うことができます。
となると個人トレーダーもドルインデックスを見るべきではないでしょうか?
機関投資家がドルインデックスを見ているということは、 彼らが見ているサポレジ・テクニカル分析等が効いてきます。
と、いうことは ドルインデックスを見てすべきことは 通貨ペアと同様にドルインデックスを通貨ペアと同じように分析することです。
通常のトレードの際 必ず通貨ペアの分析を行うと思いますがそれと同じことをドルインデックスでも行います。
それでドルインデックスがトレンドかレンジか 反転しそうかブレイクしそうかを見極めて相場観を組み立てます。
そしてその相場観でドルストレートの通貨ペアをトレードするのです。
米ドルの強弱がわかるドルインデックスですが、米ドルを含まない通貨ペアでは有効でないのでしょうか?
例えばポンド/円などは米ドルを含んでいません。
面白いことにマーケットでは直接ポンド/円の取引はされていません。
ポンド/円の取引の場合は、ポンド/ドル ドル/円を合成することで 通貨ペアとして成立しています。
※「クロス通貨(合成通貨)」と呼ばれる所以はここからきています
ですので米ドルはほぼ全ての通貨の値動きに関連しているといえるので米ドルの動きをチェックする事は非常に重要なのです。
ドルインデックスを見ることで通貨ペア分析で優位に立てる
FXでトレードする通貨のことを通貨ペアと言います。
なぜ通貨ペアと言うか?
それはEUR/USDであれば EURとUSDでのペアで構成されているからです。
株は全株暴落がありますが FXは全通貨暴落は無くて、何かの通貨が上がれば 何かの通貨が下がります。
このように為替市場では通貨に相対性が働いているのが株と比べた時の 一番の違いです。
EUR/USDであれUSD/JPYであれ 、通貨ペアは通貨2つでできています。
だから本当は通貨ペアが強いか・弱いかではなく、通貨そのものが 強いか弱いかなのです。
けれど 通貨ペア自体を見ている限りどこまでいっても通貨単体の強弱はわかりません(通貨ペアのチャートでは通貨単体の強弱はわからない)
そこで役に立つのがドルインデックスです。
ドルインデックスは相対性の世界から逃れているので 米ドルの本来的な強さがわかります。
この単体で米ドルの強さがわかるドルインデックスを利用すれば為替市場の分析で優位性を保つことができると思いませんか?
ドルインデックスは 通貨同士の綱引きの通貨ペアの世界で通貨本来の強さに切り込むことができる物差しとなっています。
どの通貨が強い・弱いという視点はFXトレードでは必須の視点だと思います。
この見方が身に付くと為替市場を俯瞰する視点を持ってトレードが出来るようになります。
値動きの理論
水準論は前のスイングの値幅と押し(戻り)の値幅を用いて目標価格(到達地点)を予測する理論です。
代表的な計算方法にはN計算値・V計算値・E計算値・NT計算値があります。
また水準論は値幅観測論ともいわれます。
値幅観測論は直近の高値と安値などから先の高値・安値を予測し決済(利食い)の目標値を見つけるものです。
計算方法を解説します(下落の場合は逆になります)
トレードの4大要素とは
実際トレードを行うにあたって大別すると 4つの要素があります。
1 環境認識=買いなのか? 売りなのか?
2 エントリーポイント=どこで待つのか?
3 エントリータイミング=そのレートに到達するまでの展開
4 イグジットポイント=どのレートでリスクを限定し、どのレートが利食い候補なのか
トレード毎に、意味あるトレードを重ねるには これらの要素をしっかりと押さえる事が重要となっていきます。
環境認識
今の目線は買いなのか? 売りなのか? ニュートラルなのか?
トレードを組み立てる上で 一番重要な要素といえるのがこの環境認識になります。
環境認識が出来ていないと イグジットポイントもわからないですし、ちょっとした動きで目線をコロコロ変更してしまい。短期足に振り回されてしまいます。
エントリーポイント
目線は決まった → どこで待ち構えてエントリーするのか?
このスキルが高ければ高いほど エントリー後の逆行も少なく、リスクリワードも高くなり 必然的にメンタル負荷も少なくなります。
エントリータイミング
狙っているレートにきたからといってすぐにエントリーという訳ではありません。
そのレートに到達するまでの展開も 判断要素にしていきます。
例えば 、自分が狙っているレートの少し上で 押し目買いっぽい動きが出たにも関わらず 、その買いが失敗して 自分が狙っているレートまで下落してきたならば エントリーを見送るという判断をする事も重要です。
イグジットポイント
イグジットには損切りと利食いとがあります。
この精度を高める事ができれば トレード成績が向上してきます。
効果的な損切りポイントを設定する事によって 短期足に振り回される事を防ぎ、 少ないリスクで高いリターンを狙う事も可能となります。
また 利食いポイントに関してはエントリーポイントと表裏一体といえます。
例えば 今買いポジションを持っているならば、売りが入ってくるところ=売りのエントリーポイント で利食うからです。
すなわちエントリーポイントを磨く=利食いポイントを磨くという事になります。
ルールを決める
基本方針
まずは上位時間軸でトレンドの確認をします。
そのトレンドの方向に逆らわずに
1 押し目買い・戻り売りを狙うトレード
2 上位時間軸のサポート・レジスタンスからの反発を狙ったトレード
この2つのトレードを行いますので昔からある王道的な手法といえます。
1の手法を見ると押し目買い・戻り売りは順張り
2の手法は逆張りですが上位時間軸の相場状況に沿ったトレードですので大きく見ると順張りのトレードということになります。
エントリー方向の決め方(執行時間軸が1時間足での例)
1 相場の環境を確認する。
まずはじめに週足の現在の相場状況を確認しダウ理論に基づいて
高値・安値の位置から上昇トレンドなのか、下降トレンドなのかレンジ相場なのかを判断します。
次に重要な高値・安値からサポレジラインを引きます。
これを週足から順に日足・4時間足でも行います。
2 エントリーの方向を決める
1で確認した上位足の相場状況とサポレジラインの位置に基づいて、ロングするのか ショートするのかを決めます。
エントリーする方向の決め方は多数決だと考えて下さい。
原則として2票以上入ったトレンド方向にエントリーすることになります。
例えば週足が上昇トレンドで日足が上昇トレンド、4時間足も上昇トレンドであれば、3対0で買い有利とみなして1時間足で買い場を探すことになります。
また週足が下降トレンドで日足が下降トレンド、4時間足が上昇トレンドの場合は2対1で売り有利とみなして、1時間足では売り場を探すことになります。
尚 、週足がレンジ相場で日足が下降トレンド、4時間足が上昇トレンドのように上昇トレンドか下降トレンドに
2票以上の票が入らないケースでは全体的に方向感がないレンジ相場とみなします。 レンジ相場に2票以上入るケースも同様です。
レンジ相場では重要なサポレジラインからの逆張りトレードを狙います。
次に重要なサポレジラインと価格の位置を確認します。
週足や日足・4時間足の重要なサポレジライン付近に価格が位置している場合には既に確認している上位足全体のトレンド方向は無視して重要なサポレジラインからの逆張りを狙います。
週足が上昇トレンドで日足が上昇トレンド 、4時間足も上昇トレンドであれば本来は買い場を探すことになります。
しかしチャートを確認した時点で週足の重要なレジスタンスに価格が到達していた場合には上昇トレンドという状況は無視して1時間足で売り場を探すことになります。尚 上昇トレンドが継続して週足のレジスタンスを明確にブレイクした場合には買い場を探すことになります。
つまりエントリー方向を決めるにあたって上位足全体のトレンド方向よりも週足と日足・4時間足の重要なサポレジラインを優先するということです。
もちろん価格の位置と重要なサポレジラインまでに距離がある場合には重要なサポレジラインを意識する必要はありませんので多数決で決めたトレンド方向にエントリーをすることになります。
エントリー方向の決め方は以上となります。
これが本手法の核となる部分です。
エントリーのタイミングとパターン
エントリーのタイミングについて説明します。
エントリーのタイミングは3通りあります。
1 移動平均線でのエントリー
ロング狙いの場面
移動平均線まで価格が下落(リトレース・プルバック)してきて移動平均線で反発を確認できたらロングエントリー
※1パターンはグランビルの法則の2・3・6・7
2 サポレジラインでのエントリー
ロング狙いの場面
サポートラインまで価格が下落(リトレース・プルバック)してきて、そのサポートラインで反発を確認できたらロングエントリー
3 フィボナッチポイントでのエントリー
ロング狙いの場面
フィボナッチポイントまで価格が下落(リトレース・プルバック)してきて
そのフィボナッチポイントで反発を確認できたらロングエントリー
エントリーのタイミングは以上となります。
全てロングのパターンとなりますのでショートの場合はこの逆になります。
「反発した」とみなす基準ですが裁量による判断となるため明確には定義できません。
原則としてはロングであれば移動平均線もしくはサポレジライン、フィボナッチポイントにタッチした後に「陽線が確定すること」ショートであれば「陰線が確定」することです。
精度を高めるために包み足やPinbar等の出現を確認後 エントリーするという方法もあります。
あくまで「反発」が確認できたらエントリーするということです。
補足ですがロング狙いでリトレースを待っていると上から移動平均線・サポレジラインと並んでいることが多いです。
移動平均線は浅い押し目でのロング。サポレジラインは深い押し目でのロングとお考え下さい。
但し ロウソク足の勢いが強いときには価格の動きに移動平均線が追い付かずサポレジラインが一番上になることもありますが並びの順番は関係ありません。
最初に反発を確認できた場所でエントリーして下さい。
また、反発を待ってからでは遅い。というような意見の方々も多いのも事実です。
エントリーターゲットの移動平均線もしくはサポレジライン、フィボナッチポイントを根拠に指値を入れておいてエントリーする手法です。
確かに反発を待ってからエントリーするよりも値幅を取れることが多くなりますがその分損切りも多くなるでしょう。
経験に基づく確固とした相場観と資金管理・リスクリワードの徹底があってこそそのようなポイントを明確に判断していけるのです。
どちらが正しい。というようなものではないのでその時々の局面局面に応じて使い分けていけるように学習を重ね相場観を養うことが重要です。
ルールを徹底するということ
決済のルール
決済するタイミングは下記のいずれかです。
1 損切り予定ポイント
2 利食い予定ポイント
3 重要指標発表の前
4 金曜日の深夜(執行時間軸が1時間足以下の時間軸の場合)
これ以外のタイミングで決済することはありません。
「ロングしたものの上昇の力が弱まったような気がする」
「目標利食い地点には到達していないが ここから逆行するような気がする」
といった根拠のない理由では決済しないで下さい。
また執行時間軸以外の時間足を見て急遽決済するための理由探しをすることもダメです。
こういった曖昧な基準を設けてしまうとその時々の値動きに翻弄され続けドテンエントリー(ロングでエントリーしたのに決済してショートエントリーに切り替えるようなこと)しては資金を減らし精神負荷を重くするような事態に陥ってしまうことが多々あります。
損切りポイント
損切りポイントの決め方ですが 、これにも明確な定義はありません。
著者が損切りするポイントは「直近の高値・安値をローソク足が割ったとき」またはエントリー根拠としたフィボナッチポイントを割ったときです。
これを状況に応じて使い分けています。
損切りポイントの決め方は以上になりますが損切り位置で迷ってしまう場合には「目立つ直近高値・安値を割ったら損切り」というルールにして下さい。
最後に二点 重要な補足です。
まず一つ目です。エントリーしたら必ず逆指値で損切り注文を入れるようにしましょう。
相場は急激に動くこともあり想定外の損失を回避するためにも損切りの逆指値注文は必要ですし、損切り注文を入れて機械的に損切りするようにしておかないと、レートが戻ってくることを期待して損切りできないで「戻ってくる。戻ってくる。戻ってこい」というような祈るトレードをして資金を一発で溶かす。というような事態に陥ってしまうようになります。
逆指値を入れる位置ですが予定している損切りポイントよりも少し離した位置に入れるのが妥当です。
「少し離した位置」の「少し」というのはボラティリティによって変化します。
二つ目です。必ず執行時間軸で損切り位置を決めるようにしましょう。上位時間軸で損切りポイントを探すと無駄に損失を拡大させてしまうことが多々あります。
※売りエントリーの場合はスプレッド分 加味してください。
利食い予定ポイント
予定している損切り幅以上で次のサポレジライン、もしくは 水準論を用いて算出します。
予定している損切り幅が30pipsであれば利食いはエントリー地点から30pips以上離れた次のサポレジライン・水準論の計算値に置きます。
水準論を用いる際はフィボナッチエキスパンションを利用します。
つまりリスクリワードが必ず「1対1以上」となります。
極論からいえば損切り幅以上の利食い幅があれば利食いのポイントはどこでも良いのですが利食い幅を伸ばすほど勝率は下がります。
自身のの性格やスタイルに合った利食い目標とトレードスタイルを見つけることです。
また重要なサポレジラインが直前に控えていて損切り幅以上の利食い幅が取れないのであればエントリーを見送るという慎重さが必要です。
「この勢いならラインブレイクするだろう」「このサポートは割ることはないだろう」といった希望的観測によるトレードは徹底して排除する姿勢が求められます。
エントリーしてからチャートを見続けることが難しい場合には損切りの逆指値だけではなく利食いの指値注文も入れて(OCO注文)放置するのが良いと思います。
Monay Management(資金管理)
資金管理(損切り)のルールで1トレードにおけるリスクの割合を資金の1~5%に固定する方法です。
※トレードの勝率にあわせてリスクを決定して下さい
初心者の方にはリスク1%ルールを推奨しています。
例えばクロス円のトレードで100万円の口座資金があった場合のリスクは100万円の1%で1万円になります。
損切り幅が10pipsの場合は10万通貨でトレードすればストップにかかったときの損失は1万円になります。
損切り幅が20pipsの場合は5万通貨でトレードすれば損失は1万円になります。
つまり損切り幅からトレードするときのロットを算出してリスクを1%に固定するわけです。
資金管理はトレーダーにとって最も大切な生命線ともいえます。
本手法では損切り幅はトレード毎に異なりますので枚数(Lot数)もトレード毎の損切り幅によって変えることになります。
重要指標はしっかりと意識する
米国の重要指標発表の際には全ての通貨ペアが対象となります。
米国以外の国の指標発表時は当該国の通貨ペアのみ対象となります。
トレードする上で絶対に避けなければいけないことが「一発退場」であり、それを避けるために知っておくべきことが「指標発表」です。
指標発表は各国それぞれの雇用統計・GDP・小売売上高などの様々な指標発表があり指標によっては相場に与える影響が大きいものあります。
特に米国のFOMC、雇用統計や消費者物価指数などは発表直後に数百Pips動く場合もあるなど影響力が高いので、発表前には 例え損を確定させるのが嫌であっても保有しているポジションをクローズすべきですし、新たなポジションを建てることは避けるべきです。
指標発表による動きが功を奏し 、含み損が含み益に変わる・・・大きな利益がとれることもありますが、それは所詮 「たまたま」です。そのたまたまに救われる経験をすればまた同じことを繰り返し、どこかのタイミングで大きな損失を被ることになったり、資金を一気に溶かすことになります。
指標の結果を予測して 、発表前にポジションを予め仕込んでおく手法もあるようですが 、予測がこうだからこっちに価格が伸びるなどという保証はどこにありません。同じような発表結果であっても 、ある月の価格の動きは大きく上昇、ある月は大きく下落ということもあります。
指標発表による運任せなトレードは控え、しっかりと相場環境を把握した上でトレードしていきましょう。
しかし 意識しすぎることも あまりおススメできる行為ではありません。
雇用統計・GDP・小売売上高といった重要視される指標発表だけでも頻繁にありますので 、指標を意識しすぎるとトレードするタイミングを失うことなります。
新規にポジションを建てるときは1時間後や30分後の指標発表を意識すべきですが、すでに保有しているポジションに対しては指標発表は無視してしまっても問題ないと思います。
結局、 指標発表によりどちらに価格が動くかは分からないのでテクニカル的な根拠が崩れない限りは保有していてもOKというのが著者の考えです。
但し 、米国のFOMC、雇用統計や消費者物価指数絡みはテクニカル的な動きを無視して動くことが非常に多いのでこの二つに関しては例外的に保有ポジションを決済してしまいましょう。
「こんなに含み損があるのに決済なんてできない」こういった心理が働くものですが、そもそも許容できない損失を抱えてしまう状態が間違いなのです。
「損失は許容できる範囲に収める」
これは投資の絶対的なルールであり、許容できない含み損を抱えるトレードを繰り返すようになると、含み損から大きな利益を取れることがあったとしても必ずいつかは退場することになります。
トレードは淡々と行う作業
トレードにおいて最大の目的は利益を上げることなので利食いになったときは誰でも嬉しいと思います。
しかし喜ぶにはまだ早いです。
利食いになったからといって良いトレードとは限りません。
たまたま利食いになっただけかも知れませんのでトレードを客観的に検証しましょう。
・自分の決めたルール通りにトレードは出来たのか?
・環境認識は間違っていなかったか?
・エントリーは適切だったのか?
・利食い位置は適切だったのか?
・損切り位置は適切だったのか?
・損益比は適切だったのか?
・Lot数は最大リスクの範囲以内だったのか?
調子に乗ってトレードをすると冷静な状態ではミスしない様な事をミスをしてしまいます。
損切りになっても、それはトレードのコストだと思って冷静に自分の行ったトレードを客観的に検証を行いましょう。
損切りになったからといっても良いトレードの場合もあります。
自分の決めたルール通りにエントリーパターンが来たらエントリー。イグジットが来たらイグジット。
ただそれだけです。
そこには度胸も恐怖もいりません。
淡々と流れ作業の様にトレードを行わなければ自分の決めたルール通りのトレードではなくなってしまうことがあります。
もちろんトレードを行うのは人間ですので感情の起伏が無くなることは無いかも知れませんが 1トレードで一喜一憂していては感情に揺さぶられてしまいます。
トレードは淡々と、そして淡々と行う作業でなければなりません。淡々とこなすことで上手く負けを吸収しながらトータルでプラスに持っていけるのです。
大切なのは決して負けないことではありません。損失は出るのが当然であり、損失を出さない投資家など存在しないでしょう。
損失を出しながらもトータルで利益を築き上げるのです。そのためには一つのトレードで一喜一憂しないことです。
どんなに優れた手法でも連敗することがあります。
そして連敗すると手法を信じられなくなりトレードがブレてきます。
しかし「連敗してもトレード数をこなせば利益が上がる」という自信があればブレることはありません。
その自信を作り上げる土台が過去検証です。
検証作業は面倒かもしれませんが必ず取り組むことです。
そしてオーバートレードにはくれぐれも注意することです。
1日中チャートを見ていても1度もトレードチャンスが来ない場合もあります。
勿論チャンスがあれば1日に4回でも5回でもエントリーできる場合もありますがごく稀です。
とにかくチャンスが来るのを待つことが重要です。
1回の勝ちトレードと1回の負けトレードを回避することは同じ価値があると思います。
トレード数に制約を設けるなどしてオーバートレードを回避して下さい。
トレード回数、LOT数、明確なルールを作りそれを徹底していくことです。
そうしたルールを徹底して、一喜一憂しないで淡々とトレードを行うのです。
効果的なチャート検証とは
チャート検証とはどのような目的で何故やるのか?
これをしっかり意識してチャート検証しないと多くの時間を無駄に費やすかもしれません。
「私はチャート検証に○○時間費やしました」
「私はチャートを○○枚印刷して検証しました」
確かに多くの時間を費やして多くの枚数を検証することは大変だと思いますし 、この作業をコツコツ出来る方は我慢強さを兼ね備えていると思います。
しかし せっかくこれだけのことをしても 振り返ってみると「何が残ったのだろう?」となってしまっている方が多くおられるのも事実です。
なぜこのような事になってしまうのでしょうか?
同じ時間を費やすのならば 自分の血肉となり実践にしっかりといかせる様なチャート検証をしたいものです。
チャート検証とは どの様に行えば効果的なものとなるのでしょうか?
これについては【目的意識を持つ】という事が重要になってきます。
【目的意識を持つ】といってもその目的は様々です。
このチャート検証は「どのような相場の動き」に対して「どのようにトレードを繰り返した」としたら「どのような結果がでていたのか?」という様に、自分のやりたい事をしっかりと チャート検証出来るかが ポイントになってきます。
ここでチャート検証をする際に重要な事がもうひとつあります。
それは【再現性のあるチャート検証】をすることです。
チャート検証というのは 当然の事ながら過去の結果が出ているものに対して行うものです。
つまりすでに どの様に動くのかが 【答えとしてわかっているものだ】という事です。
これは非常によく見られる傾向なのですが【自分の都合のよい結果になるケースだけを見てしまう】というものです。
「今日はこれをチャート検証しよう」と決めたはずなのに、 なぜか勝てるポイントばかりを見てしまってしまいます。
そして その様なポイントばかりを見ていてチャート検証するので勝率や結果がとても良いものが出ます。
しかし 【いざリアルトレードでしてみると思う様な結果が出ない…】
チャート検証するときにはしっかりと勝つ部分・負ける部分の両方をチャート検証してこそ 実際に使えるのかどうかの判断が出来て再現性も生まれるものです。
これをしないで勝てる様なところだけをピックアップすればせっかく費やした時間が無駄に終わります。
過去のチャートで答えがあるとはいえ より本番をイメージしながら丁寧にチャート検証する事が大切です。
そうして出した結果によって 自分の基準が使えるものなのかどうかがやっと判断出来るのです。
また そうしたチャート検証によって自信が生まれてくるのです。これらをしっかりと頭に入れながらチャート検証する事でより効率の良いチャート検証が出来るといえます。